手術当日③〜術後の苦しみ
眠る薬が入ったのか、少し眠ったようでした。
再び目を覚ましました。
ふと気づきましたが、口に固い板を咥えさせられてます。
声が全く出ません!
婦人科のA先生がいて、穏やかな声で話しかけてきました。
「マメ猫さん、子宮の手術自体は上手くいきましたが、この手術で腸に穴が開いて、マメ猫さんのお腹に人工肛門を作りました。大変なことになってしまったけれど頑張っていきましょうね」
便がお腹から出るんだよね?
私は福祉の仕事をしているので知識はありました。でも、まさか、自分のお腹に人工肛門が造られるなんて。
この時は、確かにショックはありましたが、それよりも、口から出ているこれは何なの?苦しすぎる〜と思っていました。
人工肛門のことより、目の前の苦しさがたまらない。
人工呼吸器です。
何これ?全く声が出ない。枕のシワが気持ち悪くて、看護師さんに頭の下に手を入れてもらって直して欲しいのに、ただそれだけなのに、声が出なくて通じない。
無意識に管を抜こうと手が伸びましたが、看護師さんに押さえられました。
看護師さんに、「ごめんなさい。手術後は麻酔の影響で暴れたり混乱することがあって、管を抜くと危ないので、手を結わえさせてもらいます」と言われて、ベッド柵に両手首を結わえつけられました。ゆるくなのですが、動きが制限されます。
文字盤で看護師さんとやり取りします。人工呼吸器、「つらい」「はずして」「いつまで」と、一文字ずつ示します。
看護師さんが、先生が明日の朝一番で来るまでこれは外せませんと、申し訳なさそうに言います。
痰がらみで息ができなくなり、何回も痰を吸ってもらいます。息ができないと暴れます。すると看護師さんが来て、痰吸引します。
苦しい、苦しい、苦しい…
汗びっしょりで、涙がボロボロ出ます。
時計を見るたびに絶望。
時間が進まない。
朝まであと何時間?
途中で眠る薬を入れてもらいながら、でも何度も目覚め苦しさで暴れました。
叫ぼうとしても声が出せない、長い長い苦しい夜でした。